こんにちは。
先日、ソーシャルレンディングについて調べた記事を書きました。
デフォルトのリスクについてはそちらで記述した通りで、ソーシャルレンディングの性質上、完全に回避することはできません。ですので、デフォルトが発生してしまった時、出来るだけ元本が戻ってくると考えられる案件に投資したいものですよね。
今回は、それを検討するための材料となる、「シニアローン」と「メザニンローン」というローンの種類を説明していきます。
シニアローンとは
シニアローンは、一般的な融資のことを指します。銀行からお金を借りる場合は、大抵がシニアローンです。
借り手側からすると、融資を受けるための審査が厳しく、融資を受けるまで時間がかかったり、希望の金額を借りることができない可能性があるというデメリットがある代わりに、金利が安い、というメリットがあります。
シニアローンは「第一抵当権」となるので、貸し手側からすると、何かあった時に融資したお金(債権)を回収しやすい、というメリットがあります。
この「第一抵当権」という言葉は、後ほどもう少し詳しく説明します。
メザニンローンとは
メザニンローンは、シニアローンで足りない分のお金を補うための融資です。
シニアローンとは対極で、借り手側からすると、融資を受けるための審査が緩いため資金調達がしやすいというメリットがありますが、その分金利が高いというデメリットがあります。
メザニンローンは「第二抵当権」となるので、貸し手側からすると、何かあった時に融資したお金(債権)を回収できないかもしれない、というデメリットがあります。その代わり、高い金利を得られるというメリットもありますね。
この「第二抵当権」という言葉は、「第一抵当権」と合わせて後ほどもう少し詳しく説明します。
資金調達の方法
そもそも、事業者が資金調達をする方法は何があるのでしょうか。簡単に説明しておきます。
ここでいう事業者は、上図でいう所の中小企業、融資を受ける側です。
資金調達の方法は、大きく「自己資金を用意する」「お金を借りる」という2つの方法があります。この「お金を借りる」という方法は、「負債」と呼ばれます。図解すると、こんな感じです。
この負債、つまりお金を借りる方法が、先ほど紹介した「シニアローン」と「メザニンローン」に分かれます。基本的に、銀行からシニアローンで全額を借りられることはそう多くないため、足りない分はメザニンローンで補われます。
抵当権とは
シニアローンにせよメザニンローンにせよ、たくさんのお金を借りることになりますが、金融機関はタダでお金を貸してくれるわけではありません。大抵の場合、お金を借りるためには担保を設定する必要があります。
借りたお金が返せない場合は、代わりにこの「担保」が金融機関に取られてしまうということですね。お金を貸す側からすれば、リスクを回避するためにも何かしらの担保がないと困りますよね。
この「担保」を、自分(担保提供者)の手元に置いておける担保のことを、「抵当権」と呼びます。
例えば、土地を持っている人が、マンションを建てるために銀行からお金を借りるときに、その土地を担保にお金を借りるとします。
このとき、お金を借りている間は担保としている土地が取り上げられてしまったら、マンションが建てられなくて困りますよね。抵当権であれば、お金を借りている間も、予定通りきちんと返済ができていれば問題なく自分の土地として利用することができる、ということです。
ちなみに、今回の本質ではないのでおまけですが、担保を完全に相手に預けてしまう、自分に権利が残らない担保のことを「質権」と呼びます。
抵当権の優先順位
一般個人は、1つの担保で借りるお金は1つであることが多いと思います。
しかし、事業者の場合は借り入れるお金が大きいため、1つの担保で複数の借金をする場合があります。ここで登場するのが、冒頭に述べた「第一抵当権」「第二抵当権」と言った優先順位です。
もし仮に、お金が返せないとなりデフォルトが発生した場合は、担保を元に融資したお金を回収します。しかし、借りたお金を全額賄えない場合、同じ担保で複数借金をしていたときにお金の取り合いになってしまいますよね。
そうならないように、抵当権には優先順位がつけられます。それが、「第一抵当権」「第二抵当権」ということです。第一抵当権から順に、担保を元に借りたお金を返却していくことになります。
借りたお金の全額を担保で賄えない場合、抵当権の優先順位が低い場合はそのお金を回収できない、ということになります。
具体例を図解したものを見てみましょう。
2,700万円の借り入れがある状態でデフォルトが発生したけど、担保をキャッシュに変えたら2,400万円にしかならなかった、という場合です。
優先順位が高い借り入れから返済していきますので、第一抵当権の2,000万円は元本を毀損することなく満額返済されましたが、第二抵当権の500万円は100万円足りない400万円の返済。80%の返済率となってしまいました。さらに、第三抵当権の200万円は、もう担保となるお金はありませんので、全く返済されずに全ての元本を毀損してしまいました。
たとえ利率が高かったとしても、抵当権の優先順位が低ければそれだけリスクが高いということがわかりますね。
実例を見てみよう
Owners Bookではどのようにこれらの情報が公開されているか、実例をみてみましょう。
例1:シニアローン
融資の総額が3,010万円の事例です。説明を簡単にするため、3,000万円の融資と考えてください。
この事例の場合は、OwnersBookが第一抵当権となるシニアローンが融資の100%を占めており、融資額も担保の評価額の66.5%です。これならば、デフォルトが発生してしまったとしても優先して返済してもらえますし、担保が多少値下がりしても元本を維持できそうなので、返済リスクは低そうですね。
例2:メザニンローン
融資の総額が5,010万円の事例です。先ほど同様、説明を簡単にするため、5,000万円の融資と考えてください。
この事例の場合は、銀行から第一抵当権となるシニアローンとして、1億円融資を受けています。続いて、OwnersBookから第二抵当権となるメザニンローンとして5,000万円融資を受けています。総借入額は、合わせて1億5,000万円ですね。
この場合、デフォルトが発生してしまったときは銀行の1億円を先に返済されるため、OwnersBookの5,000万円は担保が不足してしまえば返済されないかもしれないというリスクをはらんでいます。例えば、融資をした時点での担保の評価額は1億8,900万円でしたが、実際に担保を売却してみたら1億4,000万円になってしまった場合は、5,000万円全ては返金できないですよね。
しかしながら、担保の評価額である1億8,900万円は、総借入額の1億5,000万円に対して余裕があります。上の図で、銀行に対する1億円は評価額に対して52.9%、OwnersBookに対する5,000万円は評価額に対して26.5%と書いてありますよね。これらを合わせると、評価額に対する総借入額の割合は約80%ほどです。
これならば、先ほどの例のように評価額が下がってしまったときでも、それなりの割合で返済されそうですよね。従って、返済リスクは比較的低そうだということがわかります。
シニアローンかメザニンローンか、という点も重要ですが、担保に対する総借入額の割合もしっかりと確認した方が良いこともわかりますね。
まとめ
今回の記事では、シニアローンとメザニンローンについてまとめました。
- シニアローンは、返済の優先順位が高い「第一抵当権」に当たる融資
- メザニンローンは、返済の優先順位が低い「第二抵当権」に当たる融資
- 抵当権が低い場合、デフォルト発生時の返済リスクが高い
- 担保に対する総借入額の割合を確認しよう
調べていく中で初めて知った単語も多かったのですが、しっかり勉強しておかないといけない内容ですね。
ソーシャルレンディング初心者として、勉強した内容はこれからもまとめていきたいと思います。